曙ブレーキ工業が経営に行き詰まり事業再生ADR手続を申請・・・


ブレーキパーツの製造で有名な曙ブレーキ工業が、経営に行き詰まり事業再生ADR手続を申請したようです。
日本経済新聞の記事によりますと、2018年9月末で有利子負債が1083億円あったようですね・・・
曙ブレーキ工業と言えば、F1やニュルブルクリンク24時間耐久レース、FIA世界耐久選手権のチームにブレーキシステムを供給しており、マクラーレンの市販車にもブレーキシステムが採用されています。
2輪レースでは、2004年にJSB1000クラスへブレーキシステムの供給を開始し、翌年の2005年には曙ブレーキのブレーキシステムを採用しているHonda DREAM RTの伊藤 真一選手がチャンピオンを獲得しました。
近年では、2011年にMuSASHi RT HARC-PROへブレーキシステムの供給を開始し、2013年と2014年の鈴鹿8時間耐久ロードレースの2連覇に貢献しています。


曙ブレーキ工業 紹介動画



経営に行き詰まり、事業再生ADR手続を申請した曙ブレーキ工業のニュースですが、日本経済新聞の報じた内容は以下の通りです。

1月30日 日本経済新聞の曙ブレーキ工業についての記事

曙ブレーキ工業は30日、取引金融機関に金融支援を要請したと発表した。
国の認定を受けた事業再生実務家協会に、29日に私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)制度の利用を申請し、同日付で受理されたとした。
すべての取引金融機関に対し、借入金元本の返済を一時的に停止してもらうよう求める通知書を送付した。
2月12日に第1回の債権者会議を開く。
曙ブレーキによると、米国事業の苦戦で財務体質が悪化し、2018年9月末で1083億円あった有利子負債を計画通りに返済するのが難しくなった。
事業再生ADRの手続きを金融機関と協議しており、資金繰りに問題は生じていないという。
曙ブレーキは「金融機関の合意のもとで、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指す」とした。


同社はあわせてトヨタ自動車に増資の引き受けを含めた支援を打診している。

一方、トヨタは「ADRの利用については聞いているが、増資要請については受けていない。現段階で仮定の件についてコメントできない」(渉外広報部)としている。

2月12日に開催予定の第1回債権者会議で、事業再生計画案の概要説明などをする。
同社は「一般の取引先には影響を及ぼすものではない」としている。


曙ブレーキは米国事業が連結売上高の半分を占め、収益の基盤になっていたが、近年は急激な需要増に生産拠点が対応できず混乱していた。

特に連結売上高の3割近くを占める米ゼネラル・モーターズ(GM)の次期モデル車の受注を逃し、急速に収益が悪化。
18年9月末の自己資本比率は14%と財務体質が脆弱になっていた。
30日の東京株式市場では曙ブレーキの株価が大幅続落した。
売り気配で始まり、一時、前日比約26%安の158円まで急落する場面があった。
同社が取引金融機関に金融支援を申請することが明らかになり、事業の先行きを懸念した売りが広がった。

と報じています。
私は経済には疎いので、「え?曙ブレーキ工業は潰れるの?」なんて思いましたが、そういう訳では無さそうです。
"事業再生ADR"についてWikipediaで調べてみたのですが、以下の通りです。



事業再生ADRとは

事業再生ADRとは、会社の経営が行き詰まった企業の事業再生を目指すにあたり、会社更生法や民事再生法(和議)、破産法などによる裁判所の法的な手続きによる紛争解決の手続きを使わずに、当事者間の話し合いで解決する手続きの事である。
なお、ADRとは裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)の略。
2007年に産業活力再生法の改正により制度化された。

事業再生ADRの特徴

債権放棄をする場合、純粋な私的整理である時は個別の案件それぞれに税務当局に損金になるかについて判断を被る必要があるが、当制度を利用することによって債権放棄をする場合は税務当局から合理的に債権放棄がなされたものと見なされ、税務上の損金算入が認められる。


これにより債権者は債権を税金をかけずに償却できる。

また、手続きは金融機関などに限って行われるため、通常の私的再生整理と同様、本業を継続してつづけながら、解決策を金融機関などと話し合いで見つけ出すこともできる。
法的再生を担う実務者と同じレベルの管理下で手続きを進められ、もし意見がまとまらない時は裁判所を利用した法的な整理(会社更生法、民事再生法、破産法など)を利用してADRの結果を尊重して手続きを進めることも可能である。
上場企業の場合、会社更生法、民事再生法、破産法とは異なり上場廃止とはならないが、事業再生ADRが成立した場合は、証券取引所に「事業再生計画」を提出しなければならない。


証券取引所は「事業再生計画」提出後に1ヶ月間における時価総額の審査を行い、これにより上場維持か上場廃止が判断される。
との事です。
とりあえず、日本経済新聞の記事でも「一般の取引先には影響を及ぼすものではない」と書かれていますし、Wikipediaの記事を読む限りでも、本業は続ける事ができるようなので2輪や4輪のレーシングチームへのパーツ供給は続けられると思うのですが、有利子負債が1083億円もあるのは心配ですね・・・

経済は本当に奥が深く、私はこの分野には疎いのですが、国産のパーツメーカーが無くなるとやはり寂しいです。
少しでも経営状況が良くなって、曙ブレーキ工業の経営状況が良くなることを祈ります!




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