Motogp 2018シーズン開幕!バレンシアテスト結果と個人的見解



motoGPクラスは2017年シーズンが終わった2日後から早くも2018年シーズンがスタートしています。

Motogpクラスは14日~15日の日程で、最終戦バレンシアGPが開催されたサーキット・リカルド・トルモで、2018年シーズンの最初のオフィシャルテストが実施されました。

初日から、スズキファクトリーのアンドレア・イアンノーネとアレックス・リンスが食あたりでテスト不参加になる等、話題の絶えないテストとなりました。(2017シーズンの慰労会で何を食べたのでしょうか・・・・?)

今回のテストで、個人的に気になったのがYAMAHAの動向ですね。

開発方向に迷いが見られ、2018年シーズンのM1開発が迷走するのではないかと不安です。

そして、YAMAHAの開発方向を迷わせる一員とも言えるヨハン・ザルコを獲得しようと早くもKTMが2019年シーズンに向けてザルコと交渉を始めたそうです。



さて、今回のテストでまず目に付くのは、バイクのフェアリングの変化でしょう。
ヤマハは初日から新型のフェアリングをテストしています。

2016年に使用していたフェアリングを無理やり今のレギュレーションに適合させたような形状になっており、非常に大型のカナードが付いています。
2016年型のM1のカナードは「美しくない」と不評の声もありましたが、ヤマハも背に腹は変えられないといった感じでしょうか?
しかし、そうなるのも無理はありません。
現在のレギュレーションでは、テストの回数も少なく制限されており、マシンの肝となる電子制御類は全メーカー統一、エンジンもシーズンが始まると仕様凍結。
そうなると、フレームやエアロダイナミクスで何とかしようと思うのは当然の流れです。

ヤマハの新型フェアリングがパッと見わかりやすいので注目されがちですが、実はホンダも今回のテストでエアロダイナミクスに関して色々なテストをやってます。

下の画像は新型のRC213Vのマフラーなんですが、取り回しが何とも不思議な形をしています。



こちらの画像は従来型のマフラーですが、新型は集合部分以降、マフラー長が若干短くなっていることが解ります。
それにしても溶接跡が美しい・・・
一昔前はチャンバーの溶接跡に萌えたものですが、最近の4stマフラーも芸術的な溶接ですね。



YZR-M1に話を戻しますが、フェアリング以外にも気になる点がありました。
上の写真を見ればわかると思うのですが、サムブレーキが付いていますね。
以前、「気になるパーツ サムブレーキ。Motogp ドヴィジオーゾ好調の理由もサムブレーキ!?」という記事でサムブレーキの事を取り上げ、ドヴィジオーゾを筆頭にDucati勢はサムブレーキを使用しているライダーが多いですが、サムブレーキが当たり前の時代が、すぐそこまで来ている気がします。
それともう一点気になったのが、下の写真です。

燃料タンクの位置が常識では考えられないくらい低い位置に取り付けられています。
マスの集中化を狙った配置なのでしょうが、無茶苦茶ガソリン入れにくそうですね・・・

さて、記事冒頭で触れたYAMAHAのYZR-M1の開発についてですが、レジェンドライダーのバレンティーノ・ロッシは、初日4位、最終日は7位で終えています。

ロッシは今回のテストで2016年版フレームでの作業に集中し、2日目は2016年版フレームに2017・2018年版エンジンを搭載して比較作業を行っていました。
2017年版のフレームでレース終盤にタイヤの消耗が激しかったり、他にも色々問題が多かったようで、2018年版のフレームは2016年版のフレームをベースとした進化版になるようです。
なので2016年版のフレームに2017・2018型エンジンを搭載し、エンジンの比較も行っていたんですね。
ロッシのコメントによると、「エンジン面での今回のテストの目標は、エンジンが低速回転の時から出力をソフトに保ちつつ、最大限のパワーを出すようにすることがテーマ」だったそうです。

初日は首位、2日目最終日は5位を獲得したチームメイトのヴィニャーレスもロッシと同様に2018年版エンジンのテストも行いました。
ヴィニャーレスのコメントによると、2日間のテストだけでは、2017・2018年型のエンジンのどちらが優れているか決め辛いそうで、2日目のテストでは、路面状況が1日目と異なりタイムが落ちてしまい、両エンジンの違いを探ろうと作業を進めていったものの、motogpクラスの車両は、パワーが大きいので新エンジンの方が馬力が上なのかライダーの判断だけでは、判断し辛いそうです。
今のところ、マシンの手応えとしてはロッシもビニャーレスも似たような感想を持っており、2人の開発方向が反対の道を行く事には現段階ではならないようです。



2人が今シーズン苦戦した2017年型のM1を今年のグランプリを掻き回したルーキー、ヨハン・ザルコがテストしたのですが、初日は2位、2日目は3位とワークス2人よりも好リザルトでテストを終わっています。
ザルコによると、2017年版はブレーキングの安定感が凄く、乗り換えてすぐに良い走り心地で、2016年版に比べ、2017年版のマシンの方が、要求されることが少なく体力面でも楽に操作できるそうです。

ザルコ選手のコメントによると、
「ファクトリー陣がこのマシンのことを悪く言い始めたのは、シーズン中でした。バレンティーノが特にウェットコンディションで不満を言ってましたが、ビニャーレスはカタールとアルゼンチンで優勝してるわけです。
それらの点を考えると、間違ったマシンとは言えないんじゃないんですか?

レース終盤でタイヤがタレてしまうと言われていたので、レース距離の半分ぐらいを走りタイヤに集中してみました。
走り心地が良い時もあれば、悪い時もあるので、テスト後にテレメーターの検証をしてみます。
今後のテストでも、タイヤの問題の作業を進めることになるでしょう。
セッティングが出て、このマシンのパワーを使いこなせたなら優勝できるマシンになるはずです。」

今シーズンのレースを見ていて皆さんご存知のとおり、ザルコはソフトタイヤで走ることが多かったです。
最近のGPマシンは電子制御類が統一されており、少しでも他のライダーよりも優位に立とうとするには、なるべく電子制御が効かないようにし、コーナーリング中もパワーが使えるセッティングにするライダーが多いそうです。
マルケスなんか特にそうらしいです。
そんな電子制御があまり介入しないバイクでもソフトタイヤ走れるザルコはスロットルワークが丁寧で、現在のMotogpライダーの中でも特殊能力を持ったライダーとも言えます。

2人がシーズン中盤から苦戦した2017年版M1を「間違ったマシンとな言えない」とザルコはコメントしており、タイムもワークス2人より速く、しっかり出しています。
一体、2016年型のフレームと2017年型のフレームはどちらが優れたフレームと言えるのでしょうか?
また、2018年型のフレームは2016年型のフレームがベースとなるので、本当にそれが正しい開発方向なのでしょうか?
今後のYZR-M1に注目です!



また、今年Motogpクラスへ昇格を果たした、日本人期待の星 中上 貴晶 選手ですが、初日を17位、2日目も17位で終えています。
昨年のバレンシアテストでは、スズキから移籍したビニャーレスの驚異的なタイムの陰に隠れたものの、ザルコとフォルガーの好タイムに驚かせられました。
ザルコとフォルガーに比べると、まずまずと言ったところですが、中上 選手のチーフエンジニアは過去にペドロサの担当をしていた人で、経験豊富なので今後期待が出来そうです!

バレンシアテストのリザルトです。
バレンシアテスト1日目リザルト ※画像クリックで拡大





バレンシアテスト2日目リザルト ※画像クリックで拡大
リザルト表を見て解ると思うのですが、初日に食あたりをしたSUZUKIの2名が2日目にはテストに参加しています。
ゲリピーも治ってリンスもこの表情!

個人的にタイムを見て思った事は、moto3から異例のMotogpへ飛び級昇格し、2018年度はホンダからドカティへ移籍したジャック・ミラーが好タイムで良いリザルトに付けています。
ミラーは、2018年シーズンのダークホースになる予感がします!

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