バイクのグリップ特性とコンパウンド2

前回のグリップ特性とコンパウンド1の続きです。
もうじき梅雨の季節が来ることですし、今回はウェット時のグリップに力に付いて考えてみようと思います。


ウェット時のグリップ力にもコンパウンドの影響は大きいものです。粘着摩擦力はゴムの分子が路面との間で引き合う事で得られています。ですから路面が濡れていると両者の間に水が介在することとなり、直接接触することができず、粘着摩擦力は小さくなってしまう傾向が強いのです。よって、粘着摩擦の依存度が高いコンパウンドは、ウェット路面で途端にスリッピーになりやすいのです。



したがって、レインタイヤと呼ばれるものには、ヒステリシス摩擦の依存度が高いコンパウンドが使われます。
また、ロードレースではスリックタイヤに溝を切ってセミウェット用のインターミディエイトタイヤを仕立てることも多いのですが、その場合ベースのスリックタイヤが粘着摩擦の依存度が高いタイヤだと、インターミディエイトタイヤには向かないという事は想像がつくと思います。
さて、今まで粘着摩擦力とヒステリシス摩擦力について書いてきましたが、バイクのタイヤにとって、どちらのグリップ力が大切になると思いますか?





予期しない急激なスライドに不安を感じやすい乗り物であるバイクにとっては、ヒステリシス摩擦が粘着摩擦より重要な割合を占めるのです。
しかし、ヒステリシス摩擦を大きくしてスライドコントロールしやすくなっても、粘着摩擦が無いのでは接地感も得られにくくなります。
だからと言って、逆に粘着摩擦によってベタッとした接地感を高めることができたとしても、良いことばかりではありません。
路面に食いつ行き過ぎるとハンドリングが粘ったり、ハンドリングの自由度が損なわれたりすることがあります。
ですから、摩擦力の要素である両者のバランスが、食いつき感とか滑り味と言ったものに影響する大きなファクターのひとつになってきます。

余談ですが、4輪でも低燃費タイヤがあるように2輪にも低燃費タイヤが存在しますが、低燃費タイヤのコンパウンドは転がり抵抗を小さくするためにヒステリシス摩擦を小さくする傾向があるようです。
その為、低燃費タイヤには滑り出し後のコントロールやウェットグリップや制動性能が劣る傾向があります。

低燃費タイヤの話がついつい入ってしまいましたが、とりあえず、グリップ特性とコンパウンド編はこの記事で終わります。
バイクのグリップ特性とコンパウンド編の括りとしましては、今履いているタイヤを別のメーカーや別の特性を持つものに変更する時は、ただ変えるだけでなく変更するタイヤの特性をしっかり理解して変更する事。
変更前にちゃんとそのタイヤの特性の情報集めをしておくことが大事だと思います。
タイヤって結構高いですしね・・・

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